Mizuho
(更新)
「英語の発音が苦手な人!」と声をかけたら、おそらく多くの人が手を挙げるでしょう。
長い間発音の練習をしているのに苦手だと感じる原因は、私たち日本人の耳に聞き慣れない「英語の音」。聞き慣れない音は、再現するにも口の使い方に慣れておらず、難しく感じるのです。
実はこれは英語のネイティブスピーカーにも起こる問題で、例えばイギリス人とアメリカ人がお互いの国の発音やアクセントに苦戦することはよくあります。
日本語でも、地方へ旅行した場合など、言葉の違いに驚くことがあるはずです。同じ言語でも戸惑うのですから、「外国語の発音は難しい」と感じるのは当然のこと。
「でもやっぱり英語の発音を改善したい!」
そんなあなたに、発音の基本から学習の心構え、具体的な練習方法まで、「伝わる」英語発音を手に入れるための完全ロードマップをご紹介します。
「英語の発音」と聞いて、どんな発音を思い浮かべますか?
日本では一般的にアメリカ英語を学ぶので、ハリウッド映画で耳にするような英語をイメージする方が多いでしょう。
ところが、ハリウッド映画や海外ドラマにも多様な英語の発音が登場します。「あれ、この人の英語は聞きやすいけど、この人のは聞きづらいな」、そんな経験あるのではないでしょうか。
もっともよく知られている英語の種類は、アメリカ英語とイギリス英語でしょう。下の動画では、イギリス人俳優等が「アメリカのどのアクセントが一番難しいですか?」という質問に答えています。ニューヨークやボストン、テキサスのアクセントなどは、同じ英語を話す彼らにとっても真似をするのは難しいと感じるようです。
もちろん地域によって発音やアクセントは異なることがありますが、一般的にアメリカ英語とイギリス英語にはどのような違いがあるのでしょうか。
以下のように「R」と「T」の発音の違いや、音の強弱をつけるアクセントの位置に違いがあります。Rの発音については文字では分かりづらいので、こちらで確認しましょう。
【代表的な音の違い】
アメリカ | イギリス | |
R | 強調して発音する (Rthoticと呼ばれます) | 母音の前にRがあるとき以外はあまり発音しない (Non-ほちcと呼ばれます) |
T | TをDや「ラ」のような発音をすることがある better(ベラー) party(パーリー) water(ワーラー) *「フラップT」と呼ばれる現象 | Tをしっかり発音する better(ベター) party(パーティ) water(ウォーター) |
【代表的なつづりや単語の違い】
アメリカ | イギリス | |
つづりの違い | labor(労働) | labour |
center(中心) | centre | |
organize(組織する) | organise | |
単語の違い | pants(ズボン) [パンツ] | trausers [トラウザーズ] |
apartment(マンションの部屋) [アパートメント] | flat [フラット] | |
chips(ポテトチップス) [チップス] | crisps [クリスプス] |
音だけでなく、つづりや言葉自体も異なるので、ネイティブ同士でさえ混乱してしまうのも納得。
本記事では、アメリカ英語に焦点を絞りますが、場合によってはイギリスやオーストラリア、その他非ネイティブ国の人々と英語でコミュニケーションを取らないといけない場面もあるでしょう。
そんなときは、事前に各国・地域の発音に慣れ親しんでおきましょう。こちらの動画では、アメリカ・イギリス・オーストラリアの発音の違いを確認できますので参考までに。
「日本人の英語は通じない」と耳にしたことがある人もいるかもしれません。
本当に通じないのでしょうか?
答えは「No」。通じないわけではありませんが、「なまりが強い」と感じる人は多いでしょう。その要因の1つは「カタカナ語読み」です。
英語をはじめとする外来語は、日本に入ってくるときに、その発音をカタカナで表記してきました。そのうえ、「テーブル」や「ドア」のように今となっては日本語としてすっかり定着してしまっているものも多くあります。
外来語を身近に感じるためには有効なカタカナですが、英語本来の発音をするときには「壁」となって私たちの前に立ちはだかります。
なぜなら、英語にはカタカナに変換できない音があるから。よって、そのまま英語をカタカナ発音すると、なかなか外国人に伝わりにくくなってしまうのです。次のセクションでは、日本語と英語の違いから音の多様性まで、私たちが英語の発音を難しく感じる原因をひもときます。
日本語と英語には、背景となる文化はもちろんのこと、文法、文字、そして音の違いがあり、それぞれお互いに深く関係しています。特に文字と音の関係性は、日本人英語学習者にとって大事な点なので要チェックです。
一般的に日本人は「集団主義」、英語圏の人々は「個人主義」と言われます。日本人は言葉以外にも「空気を読む」などして、いろいろな要素を踏まえてコミュニケーションをとっているのです。そのため、言語的な断言を避けて、ニュアンスから相手の意思をくみ取る傾向にあります。
反対に英語圏では、言葉による意思疎通がメイン。「意見を主張しないことはいないのも同然」と捉えられかねないので、ニュアンスで思惑を感じ取ってもらうということはなく、断言して主張を通す傾向があります。
英語の勉強を始めたときに、「This is a pen」という例文を見て「『ペンはここにあります』なのに、なぜペンが文の最後にくるのだろう?」と疑問に思った方も多いはず。
これは文化的な違いとも関係する、文章構造の違いによるもの。まずは英語、日本語それぞれの基本的な文章構造を見てみましょう。
例文では、日本語だと動詞が文の最後に、英語では主語のすぐあとに置かれているのがわかると思います。
英語では動詞「like」が先に置かれることで、「好きである」ということを真っ先に主張できるわけです。
それに比べて日本語の場合は、最後まで聞き終わらないと、「(チョコレートを)好きなのか、嫌いなのか」を知ることができません。
日本語にはひらがな・カタカナ・漢字の3種類の文字があり、ひらがなとカタカナは「表音文字」という音を表す文字として使われます。ただ、この2つのみで書かれた文章はとても読みづらくなってしまいます。
そこで活躍するのが「表意文字」である漢字。漢字は文字を見れば、どんな意味か一目瞭然で、文章もより読みやすくなります。つまり日本語の文章では、ビジュアル(見た目)が大事だということです。
それに対して、英語は「表音文字」であるアルファベットの1種類のみ。したがって、英語においては「音」がより重要な役割を持つということです。
先述のように、英語は日本語に比べて音を重視する言語であると考えられます。
日本語では母音が「あ・い・う・え・お」の5つに限られますが、英語にはなんと約20もの母音があるのをご存知ですか?
※「約」としているのは提唱者によって数が異なるため。
また言語によって使っている周波数も異なり、日本語の「125-1,500ヘルツ」に対し、アメリカ英語では「750-5,000ヘルツ」、イギリス英語はさらに高く「2,000-12,000ヘルツ」と、日本語と英語との間に大きな違いがあることがわかります。
人は生まれてからある一定の期間に、「言語である」と認識した音域内の音の聞き取りしかできなくなってしまう、と言われています。
それはすなわち、日本語話者である私たちにとって、「聞こえない英語の音」がたくさんあるということ。そして当然、耳で聞こえない音は口を動かして再現するのも難しい、というわけです。
特に日本語は必ずどの音にも母音がつく「有声音(ゆうせいおん)」ばかり。有声音とは声帯を震わせて出る音のことで、「アー」と声をだしてみると、声帯が震えているのを感じられるはずです。
日本語はこの有声音のおかげで、1文字ずつ「E I GO」と明確に母音ごとに音を切り分けた音節の形「子音+母音」で話すことができます。
一方、「ハァー」と声は出さずに息を吐きながら喉に手を当ててみると、声帯は震えなくなります。これが「無声音(むせいおん)」というもの。英語の場合は子音で終わる言葉が多く、その子音は「無声音」によって作られるものが多数です。
例えば「car」を見てみると「子音+母音+子音」でできていて、日本語の音節とは異なります。このように音の作り方が違うので、英語の発音はよりハードルが高くなってしまうのです。
こういった有声音と無声音の違いを知っておくことは、発音を理解するうえで重要な意味を持ちます。なぜなら、私たちの言語に存在しない無声音を意識することによって、英語発音を改善しやすくなるから。
さらに、音に強弱をつける「アクセント」の違いも、私たちを困らせる要因の1つ。
先述の通り、英語では無声音のような「息」が重要な役割を果たし、息の強さでアクセントを変えます。一方日本語では、「喉」を使うことが大半で、「声の高さ」によってアクセントを使い分けるのです。
日本語と英語の「音」には、大きな違いがあることをわかっていただけましたか?
次のセクションでは、英語の発音を練習するメリットと、発音の基本についてご紹介していきます。
思い切って英語を話してみたのに、通じなくてがっかりしてしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。こういった経験をすると、さらに英語で話すことに自信がなくなってしまいますよね。
英語は「音」が大切な言語ですが、だからといって、ネイティブのような発音で話さなければいけないわけではありません。あくまで「思い」を伝えるための「通じる英語」で話すことが重要になるのです。
英語の発音を心得て「通じる英語」のレベルまでスキルアップすれば、「なんでわかってもらえないんだろう…」というストレスやモヤモヤからは解放されるでしょう。
「発音の話をしているのにリスニング?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ただ先述のように、英語には日本語にない音が多数あります。
例えば「R」と「L」の聞き分けは、日本人が苦手な音の代表格。「collect(集める)」と「correct(修正する)」など、LとRの違いだけでまったく異なる意味になってしまいます。しかし、カタカナ語にしてしまえば2つとも「コレクト」。
このように音の判別がしにくい言葉が会話で登場したときに、発音の基礎を押さえていれば、話している人が意図したとおりに英語を理解できるようになります。
ビジュアルよりも音が大事な英語。その分、正しい音(発音)でコミュニケーションをとることは、重要な意味を持ちます。
私たち日本人にとって英語の発音が難しいこと、それでも発音を練習するメリットが理解できたところで、次は発音記号をベースに発音の基礎について見てみましょう。
いろいろな言語の発音を記号化したものを「発音記号(Phonetic alphabets)」と呼びます。
発音記号と聞いて拒否反応が出てしまう方も少なくないと思いますが、安心してください。発音記号学習にはコツがあります。
それは、苦手な音の発音記号を先に特定すること。
日本人の私たちにとって、特に難しく感じる発音は8つほど。「発音記号はこの8つを改善するための道しるべ」だと考えるようにしましょう。
すべての発音記号を暗記する必要はありません。「こんな音があるんだ」「こういう風に発音するんだ」と知るためのツールとして使ってみてください。
提唱者によって諸説ありますが、英語で使う発音記号は約40~45個あると言われています。上の表は国際発音記号(International Phonetic Alphabet:IPA)をもとにした、英語の発音記号の一覧です。
日本語と英語の違いでも少し触れましたが、日本語には母音が「a・i・u・e・o」の5個しかないところ、英語には約20個あります。そして、その母音のなかでも「短母音・長母音・二重母音」という3種類に分けられていて、母音は意外と奥が深いことがうかがえます。
「短母音」とは、短めに発音する母音のことを指します。それに対して「長母音」とは、少し長めに発音する母音のこと。
例えば「see」という単語は[síː]という発音記号になり、「スィー」とイの部分を長めに発音します。もしこれが同じ「イ」でも短母音の[I]になると、「スィ」と単語を途中で切ってしまったようになるのです。
3つめの「二重母音」は、ほかの2つとは少し異なります。「show」を例に見てみましょう。発音記号で表すと[ʃoʊ]。この[oʊ]は「オゥ」のような発音になるので「ショー」ではなく「ショゥ」のような音になります。このように、2つの母音の音を合わせて発音するものを二重母音と呼ぶのです。
これらの母音に加えて、子音は有声音15個、無声音9個の2種類に大きく分けることができます。
前述の通り、有声音と無声音の違いは「声帯を使うか使わないか」です。
実は、有声子音と無声子音にはそれぞれペアになっている音が8つずつあり、これらのペアは、表の「濃い緑」と「薄い緑」に塗られた部分で確認できます。
例えば、それぞれ濃い緑と薄い緑の左上にある[b]と[p]はどちらも前に唇を出し、弾かせるようにして発音します。違いは、喉を震わせるか震わせないか。これらのペアでの口の使い方を知ることで、発音マスターへの近道となりますよ。
発音記号についてはこちらの記事に解説があるので、参考にしてみてくださいね。
次のセクションでは、特に日本人が苦手とする発音に焦点を当てます。
苦手な英語の発音に「R」をあげる方は多いはず。特に、Lの音と混同してしまうやっかいな英語発音の1つです。
どちらも日本語「ラリルレロ」と似ていますが、これらはちょうどLとRの「間の音」なのです。間の音とはどういうことでしょうか。
まずは、日本語の「ラリルレロ」はどのような口と舌でできているか、一度声に出して確認してみましょう。口は開いたまま、中の天井部分(上顎の中央)に舌がついているはずです。
では次に、LとRの発音方法をみてみましょう。
どちらの音の場合も、上の前歯を意識することと、「アー」と声を出す必要があることがわかりますね。この2つの音の大きな違いは、舌先が口のなかでついているか、ついていないか。
よく「Rの発音は巻き舌にしなければいけない」と思い込みがちですが、厳密には舌を巻くことではなく、舌先の位置が重要ポイントとなるのです。
以下の表は、LとRの発音を間違えると意味がまったく変わってしまう単語の一例です。
L | R |
light (光) | right (右) |
collect (集める) | correct (修正する) |
fly (飛ぶ) | fry (揚げる) |
play (遊ぶ) | pray (祈る) |
lead (先導する) | read (読む) |
lice (シラミ) | rice (米) |
LとRに次いで、日本人がやってしまいがちな間違いはVをBや「ブ」、Fを「フ」と発音してしまうこと。ここでは口の作り方がほぼ同じであるVとFに注目していきます。
まずはそれぞれの口の形と音の作り方から確認します。
先ほど有声音と無声音にはペアがあるとお伝えしたのを覚えていますか? 実はVとFこそこのペアなのです。口の形を作るのにはどちらも上の前歯と下唇を使います。
Vと間違えやすいBや日本語の「ブ」は、唇を閉じた状態から、お互いを弾かせるように声を出します。Vのように歯は使わないわけですね。
そして日本語の「フ」と言ってしまいやすいFですが、「フ」と声に出してみると有声音なうえに唇が開いた状態であることがわかるはずです。Fの発音時には無声音になって歯も使うはずなので、「フ」と発音するのは間違いであることがわかります。
Vの場合は特にBと混同してしまうと意味が変わってしまう単語がいくつかあるので気を付けましょう。
V | B |
vase (花びん) | base (基礎・基地) |
vent (風) | bent (曲がった) |
van (小型トラック) | ban (禁止) |
very (とても) | berry (果実のベリー) |
vest (ベスト) | best (最高な) |
vow (おじぎ) | bow (リボン) |
これらの単語にはどれも「TH」がついていて、日本人には発音するのが難しいとされています。それは、THの音である[θ (シータ)]が無声音で日本語には存在しないため。「ス」の音とは違うので注意が必要です。
まず、[θ]の発音の仕方を見てみましょう。
ただ、会話のなかでは、厳密にこの口の形をするのが難しいこともあるので、上の前歯の後ろに舌先を近づけて息を吐き出すことでTH[θ]の発音をしても問題ありません。
ではよく間違えてしまう[s]とはなにが違うのでしょうか?
[s]は歯茎を意識した発音であることがわかりますね。それに、前歯を閉じた状態で作られるので、間にスキマをつくるTH[θ]とは異なるのです。
sofa、sip、ship、show という単語をきちんと発音することはできますか?
カタカナ語で発音してしまうと、sip と ship はどちらも「シップ」となってしまいます。ここではまず、それぞれの発音記号を見てみましょう。
スペルはもちろんのこと、発音記号を見れば違うことは一目瞭然ですね。sip では[s]が、ship では[ʃ]が使われています。[s]については先ほど触れましたが、[ʃ]の音は以下のように発音します。
このとき、息を上の前歯の歯茎あたりに当てることを意識して「シュー」と吐き出すと、[s]とは異なる音が出ます。この2つの音も、以下のように発音を間違えると意味が変わってしまうので注意しましょう。
S | ʃ |
sip (すする) | ship (船) |
see (見る) | she (彼女) |
save (保存する・貯める) | shave (剃る) |
日本語の約4倍もある英語の母音。私たちが普段している口の使い方だけではカバーできない音がいくつかあります。
そのなかでも特に注意したいのが、[æ、ʌ、ə、ɚ]の音。それぞれ口の作り方を見てみましょう。
5つしか母音がない私たちには、英語の母音は子音よりも難しく感じるかもしれません。
「伝わる英語を話せるようになりたい!」というときにお手本となるのは、やはりネイティブの発音。
地域によって発音やアクセントに差はあるものの、英語圏の人々の話し方には共通した特徴があります。ここではネイティブの発音に近づけるために知っておくべき3つのポイントをご紹介します。
英語と日本語の違いでも挙げたように、日本語は有声音のみですが、英語では無声音も使い分けなければいけません。
有声音は声帯を使って音を出すので、長く息を使う必要がなく、発声するのには「胸式呼吸」で十分です。しかし無声音の場合は、声帯の代わりに息を操って発声するため、大量の息が必要になります。
試しに「apple」をカタカナ読みと英語の発音でそれぞれ言ってみましょう。ティッシュを口の前に垂らして発音すると、英語発音の方が息が強く当たった感じがするはずです。
このように英語を発音するときは、日本語と比べてより多くの息を操れる「腹式呼吸」を行う必要があります。
apple を「カタカナ読み」と「英語発音」したとき、口と舌の動きに違いがあったのに気づきましたか?
カタカナ読みをしたときは、あまり口を開かず、舌もそれほど動かさずに発音することができたのではないでしょうか。実は日本語はあまり身体の部位を使わなくても伝わる省エネ言語。口を大きく開いて apple と言ってみると、それだけでも英語の発音に近づいた気がするはずです。
また、日本人が苦手なLもこの単語には入っていますから、舌先の位置を意識する必要があります。英語話者は日本語にない音の分だけ、より多くの口の形や舌の位置を駆使して発音しているのです。
舌の位置については練習が必要ですが、口を大きく開けることは誰でもすぐにできます。(大げさにするくらいの気持ちで)口を開いて発音の練習をしてみましょう。
繰り返しになりますが、日本語は有声音がメインなのに対して英語は無声音が多数です。
もう一度それぞれの特徴を思い出してみると、無声音のときには手を喉に当てると振動がありませんでした。つまり、喉は開いた状態。
一方、有声音を使う日本語を話すときは、どの音を出すにも喉が震え、ストレスがかかっていることがわかります。例えば「おこのみやき」という言葉なら、「お・こ・の・み・や・き」と1音ずつ喉にストレスがかかっているはずです。
反対に、よく外国の人が日本語を話すとリズミカルに聞こえますよね。「おこのみやき」も「おこのーみやきー」と音を伸ばすことがよくあります。
英語スピーカーを参考に、喉をリラックスさせた状態で発音することで、より英語らしい発音へと近づけることができるのです。
よりナチュラルな英語発音を目指す上で、知っておきたい法則やコツがあります。
普段の日本語での話し方のまま英語を話したら、いくら発音に気をつけていても「なんか違うな…」と感じることがあるかもしれません。それは、英語には独自のリズムがあるから。
日本語のリズムは、基本的に他の言語に比べて平坦ですが、英語はアップダウンが激しい山道のよう。例えば「私は遊園地に行きたいです」と日本語と英語で言った場合のリズムの違いを見てみましょう。
試しに英語の例文を平坦なイントネーションで話してみると、なんだかロボットのようになってしまうはずです。では英語のリズムに近づくにはどうすればいいのでしょうか。
英語のリズムをマスターするために知っておきたいことは、次の3つ「アクセント、イントネーション、リエゾン(リンキング)」です。
「アクセント」とは、音の強弱や高低を指します。みなさんが一番馴染み深いのは、単語ごとのアクセントでしょう。
辞書を引いたときに発音記号の上についている[‘]がアクセントです。この記号が強めに発音するべきところを示しています。
例えば「potato」という単語の場合は、[pətéitou]と単語の真ん中あたりを強めに発音します。
日本語では「ポテト」と最初に語調を上げますから、2つの言語でアクセントが異なることがわかるはずです。まずは知っている単語を辞書で引いてみて、アクセントの位置を確認してみるとさまざまな気づきが得られると思います。
アクセントによる単語ごとの強弱の次に見るのは「イントネーション(抑揚)」です。
イントネーションとは、話すときに音程を上げ下げする変化のこと。一番基本的なところだと、センテンスの最後を下げると普通文(平叙文)、上げると疑問文、というものがあります。
このほかにもイントネーションにはいくつか法則があります。
・命令文
・疑問文が疑問詞(what/who/where/which/when/how)で始まるとき
・Yes または Noで答えられる疑問文
・聞き返すとき
・2つ以上のものを羅列するとき
これらの法則以外に、感情や意図によってアップダウンを変化させることもあります。これは日本語でも同じですね。
「法則を覚えないと」と思うと気が引けてしまいそうですが、できるだけ英語のシャワーを浴びて、たくさんアウトプットをすることで、自然とイントネーションは身についていきます。
具体的な練習方法については後述しますが、まずは一度、英語では日本語と異なるイントネーションで話すのだということを覚えておきましょう。
「リエゾン」とは、連なる単語をつなげて発音することで、「リンキング」とも呼ばれます。「英語は早すぎて聞き取れない!」という体験をしたことは誰しもあると思いますが、その一因はリエゾンにあります。
例えば「起きなさい!」を意味する「Get up」。あえてカタカナで発音を表すと、「ゲット アップ」になりそうなところを「ゲタップ」と単語の間のスペースを取り払って、つなげて発音するのです。
実は日本語にもリエゾンは発生し、「観音」や「反応」などがその例。それぞれ、漢字通り読むと「かんおん」と「はんおう」ですが、読みやすのために「かんのん」、「はんのう」と音をつなげます。
イントネーションのように、リエゾンにも一定の法則があるので、メインとなる3つの代表例を見てみましょう。
Get up (ゲタップ)
Can I? (キャナイ)
Kind of (カインドブ)
Going home (ゴーインホーム)
Dark color (ダーカラー)
Gas station (ガステーション)
間にwやyを入れてつなげて発音する
I am (アイヤム)
The end (ディエンド)
Go away (ゴウアウェイ)
補足:定冠詞の「the」は単語につけるときに「ザ/ðə/」と発音するのが一般的です。しかしその次にくる単語が母音で始まったり、その単語を強調したい場合は、「ジ/ðiː/」と発音します。
こちらの記事では詳しく「the」の発音の使い分けを解説しています。
英語の発音に関する知識を一通り網羅したら、次は練習です。人によって合う・合わないがあるので、こちらで紹介する方法を一通り試してみて、自分の特性やレベルにあったものを見つけましょう。
英語学習において、文章を声に出して読み上げる「音読」をトレーニングとしてすすめられることがよくあると思います。
音読は非常に効果的なトレーニング方法ですが、ただ読むだけでは望む効果は得られません。音・意味・感情を意識した音読を心がけましょう。
効果の高い音読トレーニングは以下です。音源がついている簡単なフレーズ集などを用意して、トライしてみましょう。
先生がお手本で読み、「Repeat after me」のあとに続いて同じ英文を読み上げる。これは学校の英語の授業でよくやっていた人も多いはずです。
このように、模範となる音源を聞いて、それをマネして発音することを「リッスン&リピート」と言います。
「リッスン&リピート」の段階を踏んだら、次はその応用で「オーバーラッピング」をしてみましょう。
オーバーラッピングでは、模範の音のあとに続くのではなく、同時に自分でも声に出してスクリプトを読んでみます。
早さについていけず、くじけそうになってしまうこともあるかもしれませんが、オーバーラッピングをすることで、模範の音と自分の音がどう異なるのかを発見することができます。そして、この発見がスキルアップにつながります。
「リッスン&リピート」と「オーバーラッピング」は発音やリズムに慣れるためのステップでした。
その次は「サイト・トランスレーション」という方法で、英文の意味と文法を理解したうえで声に出して読みます。このトレーニングは、英語の語順に慣れ親しむうえで非常に効果的です。
「シャドーイング」はよく用いられる方法なので、耳にしたことがある人も多いかもしれません。先の3つの方法ではスクリプトを見ながら音読をしましたが、シャドーイングではスクリプトを見ません。
模範となる音源を再生し、聞こえてきた音をそのまま自分で追いかけながらリピートします。スクリプトがないので、頼れるものは自分の耳のみ。話者の感情の入れ方などにも注意しながら、繰り返しましょう。
ここまでは1人で学び、練習する方法をご紹介してきました。でも、1人でやっていると正確に発音できているのか不安になってくるもの。
そんなときに使えるのが、英語発音のアプリです。アプリならいつでもどこでも利用できますし、発音記号ごとの音やフレーズの模範音声を再生してくれます。「リッスン&リピート」や「シャドーイング」をしてみて、自分の発音を確認・判別してもらいましょう。
iOSでもAndroidでも使えるアプリのなかで一番オススメなのは、「ELSA Speak」(ダウンロード:iOS App Store / Google Play)です。
ELSA Speakでは、単語ごとの発音はもちろんのこと、会話のなかでほかの単語とあわせたときの発音の確認と練習ができます。それに加えて、イントネーションも確認できるので、これ1つで総合的に発音を強化することが可能。
こちらの記事では、実際に編集部が試してオススメできる発音練習アプリをピックアップしています。ぜひ参考にしてみてください。
よりネイティブスピーカーのような早くて滑らかな発音に近づくために有効なのが、英語の早口言葉(Tongue twister)。
日本人が間違えやすい発音は、実はネイティブにとってもつまずきやすく、早口言葉が発音矯正に使われることもあります。以下は一例です。
自分のレベルや苦手な発音を考慮しながらいくつか早口言葉をピックアップし繰り返し練習してみましょう。
発音の基礎を学び、練習をしてアプリに判定までしてもらったら、ついに実践です。
英語の発音を対人でアウトプットし、改善していくには「オンラインレッスン」がオススメ。
オンラインでの英語学習は毎日のレッスンを通して、少しずつ英語発音に必要な筋肉を鍛えたり、正しい英語発音を習得してしていくことができます。
また、いろいろな国に講師がいるオンラインレッスンの場合は、違う発音やアクセントに触れることもできます。ここでは、「DMM英会話」を例にとって発音練習の実践方法をご紹介します。
まず、発音を特に練習したいときや、発音を直してほしい場合は、レッスンリクエストで講師にその旨を伝えましょう。
「発音教材」を使えば、苦手なものを集中特訓することも可能です。
また、英語をアウトプットしてすぐに講師からフィードバックしてもらえるのも、独学と違ったメリットです。「ちりも積もれば山となる」ので、1日25分の積み重ねで「伝わる英語」をマスターしましょう。
この記事では何度も繰り返してきましたが、英語でコミュニケーションすることのゴールは「ネイティブのように喋る」ことではありません。
コミュニケーションは意思疎通のためにするのですから、一番重要なのは「伝わること」です。
筆者自身、イギリスに留学していたとき、イギリス人の友人から「それ(私の発音)が君の個性なんだから、ネイティブの発音にする必要なんてないよ」と言われてほっとしたことがあります。
英語と日本語では、口や身体の使い方が根本から異なるので、英語発音マスターにはそれなりの時間と努力が必要です。
「乗れるようになりたい」「早く移動できるようになりたい」という思いで自転車に乗る練習をしたときのように、まずは「伝えたい」という思いを強く持って、本記事を参考に苦手とする英語の発音を1つずつ克服していってみてくださいね。